【ドラマ】ゲーム・オブ・スローンズの壁は進撃の巨人のパクリではないですよ

ゲーム・オブ・スローンズが各種オンデマンドサービスで配信されるようになり僕の周囲でもこの傑作海外ドラマにズッパまりする人が増えてきました。

次から次へと起こる予想外の展開に加えどのキャラクターも生き生きとして憎らしく、また愛らしく、まさに観るのをやめられない恐ろしいドラマですね、、、。

日本で果たして将来的にこんなドラマが生まれる日が来るのだろうか? と考えると悲観的な気持ちにさえさせられる、とにかく図抜けたドラマです。

さて、そんなゲーム・オブ・スローンズですが周りの未見の人におススメしようと簡単に内容を説明した時「あれ?それって進撃の巨人のパクリ?」と言われることが何度かありましたので、今回は『ゲーム・オブ・スローンズは進撃の巨人のパクリじゃないですよ』ということをエントリーしたいと思います

進撃の巨人とゲーム・オブ・スローンズの共通する『壁』という設定

傑作漫画、進撃の巨人を見たことがある人ならゲーム・オブ・スローンズを観てすぐにアレ?っと思う幾つかの共通点がありますね。

その代表的なものはなんと言っても人間(人類)の周囲を囲う超巨大な『壁』の存在でしょう。

両作品、共に人類の脅威となる外敵から身を守るために巨大な壁を築き上げその内側で半ば怯え、半ば忘れながら生活をしているという設定です。

また、その壁に関わる特殊な組織(軍隊)が両作品共にあり、進撃の巨人には『調査兵団』という組織が、ゲーム・オブ・スローンズには『ナイツウォッチ』という組織がそれぞれに物語的に重要な役割を担っています

進撃の巨人が世界的にも特大のヒットを飛ばした後にゲーム・オブ・スローンズが日本で放映され話題になりはじめたのでこの『壁』の設定を聞いた人は一聴してパクリだと思うかもしれません

ですが事実としては作品が世に出たのは『ゲーム・オブ・スローンズ』(正確には原作小説『氷と炎の歌』)の方が随分と先になります。
(ゲーム・オブ・スローンズ(氷と炎の歌)が1996年発刊。進撃の巨人が2009年ですから10年以上ゲーム・オブ・スローンズが先行しています)

このことからまずゲーム・オブ・スローンズが進撃の巨人をパクったということはあり得ません

では進撃の巨人がゲーム・オブ・スローンズをパクったんでしょうか?
個人的にはそれも考えにくいかと思います。

正直に言えば『巨大な壁によって外敵から身を守る』という設定“そのもの”はさしてオリジナリティのあるものではなく、万里の長城をはじめ『実際の歴史』にてたびたび“実物”が建造されてきているからです。

両作品ともその面白さの本質にあるのは“設定”ではなくて、ゲーム・オブ・スローンズであれば魅力的なキャラクターが複雑におりなす重厚な人間ドラマと隙なく作り込まれた映像世界と予想を裏切り続ける物語であり、進撃の巨人であれば独特の“間”と“センス”を持って次々にこちらの予想を逸脱して進むスートリーテリングの妙味にあると言えるでしょう。

もしあなたがゲーム・オブ・スローンズファンで誰かに「あれって進撃の巨人のパクリじゃないの?『壁』とかさぁ~」とか言われることがあったとしたら、「進撃の巨人の10年以上前に発売された作品だよ」と言い返してみてもいいかもしれません。

ゲーム・オブ・スローンの『壁』の本当の元ネタ

ちなみにゲーム・オブ・スローンズの壁の本当の元ネタは『ハドリアヌスの長城』と呼ばれる実際の建造物と思われます

元々ゲーム・オブ・スローンズはイングランドの歴史をモデルにしてと思われる部分が多々ありますが――例えば『最初の人々』のモデルは恐らくケルト民族――、この『壁』に相当する建築物が『ハドリアヌスの長城』という名でイングランド北部に実際に存在しています。

この『ハドリアヌスの長城』はローマ時代(西暦122年)、時の皇帝ハドリアヌスがグレートブリテン島北部からの侵略を防ぐためにイングランドとスコットランドの境界線上に建築した長大な防壁で、最盛期には9000人程のナイツウォッチ(もとい兵士)が配備され、北部からの襲撃に備えていたそうです。

時代が下りこの壁も荒廃していくわけですが、役割から周囲の風景、その他諸々ゲーム・オブ・スローンズのナイツ・ウォッチや『壁』を嫌でも彷彿とさせる建築物となっています。

ちなみにこれが『ハドリアヌスの長城』が建築された箇所の地図なのですが、位置といい長さといいウェスタロス北部の壁とほぼ同じです。

<ハドリアヌスの長城の地図(イギリス)>

<『壁』ウェスタロス大陸の地図>

周囲の風景はまさにウェスタロス大陸北部そのもの。
今にもスターク家が馬に乗って出てきそうです。

ゲーム・オブ・スローンズはその他にも多々実在の歴史的建築や文化、出来事をリソースに物語が構築されていますので、これはどの歴史的事件を元にしているのだろう? という視点で鑑賞するのもまた楽しみ方のひとつかと思います